頭を打って死ぬ

「豆腐の角で頭を打って死ぬ」を「遠くの角で」だと勘ちがいしていた。

この言葉を聞くと、おろおろする西田敏行の姿がまっ先に思い浮かぶ。おそらく小さいころ見たドラマ『池中玄太80キロ』で、落ちこんだ玄太の「豆腐の角で…」というセリフを聞きちがえて憶えていたのだろう。

玄太はカメラマンでよく遠くに行って撮影するから、死に場所を求めるとしたら「遠くの角」であろう、といった調子で、調べもせずいままで勘ちがいしたままだった。なにかの本には「豆腐の角」と正しく書いてあったのに、おかしな言葉遊びだな、くらいに思っていた。おかしいのはむしろぼくの頭のほうだ。

しかし、まちがいではあるが「遠くの角で」のほうが哀愁という点では上だと思う。遠方におもむいて誰にも知られずひっそりと命を絶つ。しかも方法は角に頭をぶつけるだけ。よほどの覚悟がないとできない自殺だ。詩情さえ感じる。

遠くの角でさらに豆腐を頭にぶつけるのは、ややコメディ寄りだが、これはこれでドラマチックかもしれない。

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