TOKYO UNDERGROUND

東京ジオサイトプロジェクトのトンネルウォークに参加した。日比谷から虎ノ門までの地下40メートル地点にある、長さ1.5キロほどの巨大なトンネル(共同溝)を歩くイベント。

前に畠山直哉さんの『Underground』や、内山英明さんの『JAPAN UNDERGROUND〈2〉』などの写真集を見て知っていたので、妙な期待をしていたのだが、実際のトンネルは写真のように幻想的な雰囲気ではなく、工事現場らしい工事現場で、あちこちに「指さし確認」とか「事故ゼロを目指そう」などの看板が飾ってあった。しかし、写真のようにわかりやすく誇張された美しさはないものの、トンネルの単調につづくセグメントタイル(内壁)が、少しずつ丸みを帯びて、最終的にゆるやかな軌跡でカーブを描く有機的な美しさは、歩きながらうっとりするほどであった。

共同溝を歩いていると、地上との差が湿気と閉鎖感しかなくなってくるためなのか、ここが地下であることがわからなくなってくる。しばらくそんな状態で歩いると、中間立坑の桜田門立坑で度肝を抜かれた。頭上にぽっかりと穴、というか空間が開いていて、そのはるか彼方にうっすら空が見える。ああわたしは地下にいるのだ、とふたたび実感した。感覚がじわじわ狂っていき、それがある瞬間に急に矯正される快感はたまらない。たぶんこれは地下ならでは感覚だろう。地上は言うまでもない。飛行機なら窓を見ればすぐに空にいることがわかる。地下は閉じられているからこそ、地下らしさをなかなか確認できない。

共同溝が一般人の目に触れるのも今回が最後らしい。ふだん見ることのできない地下で、規模の大きいなにかが行われていて、いずれ決定的になにかが変わる。東京が変わるのだ。そう考えると、ついわくわくしてしまう。たくさんの人が参加したみたいで、わたしたちが日比谷立坑を降りるころには「四時間待ち」などとアナウンスされていた。

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