ぼくの姉の旦那さんはフランス人だ。最初は驚いたが、やさしいいい人だった。
フランス人の男性はみんな雰囲気が似ていると思う。アンニュイというか、なんだかダラッとしてる。映画でもやたらハイテンションな人は見ない。もそもそ言うフランス語の響きが関係してるのかもしれない。そういえばアンニュイはフランス語だったか。
フランス人はもそもそ。義兄がフランス人のぼくが言うんだから、大きく間違ってはいないだろう。もしもっさりしてるフランス人がいたら、もそもそでしかももっさりで救いようがないな、とちょっと思った。
モランス人。友達になりたい。
ヴィジュアル系のバンドに文句をつけている友達がいた。
化粧や衣装などはいいらしいんだが、立振るまいや歌い方、そして言動にムカッとくるというのだ。いわく「ファン(女性)を意識しすぎている」。言いたいことは、わからないでもない。
「まあ、彼らはモテるのが仕事だから」
あ、いまオレいいこと言った。と思った。これからこんな問答があったら必ずこう答えるようにしよう。
マニュアル系。
「ユッケ」「ビビンバ」「クッパ」は人を馬鹿にした響きのある食べものだとよく思う。
焼肉の代表的なメニューだが、ためしに鏡の前で「ビビンバ!」と言ってみてほしい。自分の浮かれた姿に腹が立つだろう。他人に「ユッケ!」と言われたら、瞬間的にパンチを飛ばしている自分に気づくはず。
そんな妙な語感を持つ食べもの。人を味覚で喜ばせ、音で馬鹿にする。いってみれば人を食った食べものか。そんなことを考えながらもくもくと食べる。ぼくなりの、食べものと自分との距離を見つめなおすための大切な作業だ。
クッパだけはどうしても大魔王のイメージがつきまとう。
こんなこと言うと多くの方に非難されそうだが、薔薇とワカメはにおいが似ている。
そんなバカな、と思われる方は、ぜひ一度、花屋に行って嗅いでみてほしい。すぐワカメのにおいとわかるはずだ。事前にワカメスープを食べておくと、くらべがいがあってなおよいと思う。
ローズティなどの薔薇エキスのにおいは、かぐわしい臭素だけを抽出してあるので、ワカメっぽさが足りない。北京で薔薇の花びらの入ったお茶をよく見たんだが(こうやって香りをつける)、エキスにはないワカメさがあった。なるべく本物の花と嗅ぎくらべていただきたい。
人間の声には声紋があり、のどのかたち、歯の角度、舌の大きさなどの影響が、すべて周波数の振動となって表れ、指紋と同じようにひとりひとり異なっている。においも、そのように特徴を数値化できれば、おそらく薔薇とワカメの似通っているところを証明できるはずである(もうされているかもしれない)。
ところで、漫画や小説で、美しい人物にたいして比喩的に薔薇が使われることがある。その人物の背に薔薇が描かれていたり、「美しいが、トゲがある」などと表現される。ぼくはそんな人物をいつも、
ワカメちゃん
と呼ぶことにしている。
学校でアニメーションの歴史の授業を受けている(専門学校じゃありません)。
この授業の面白いところは、内容を別にして、 60 歳をすぎた講師が「セーラームーン」とか「日本のアニメはセクシーな女性キャラが…」など、そういう年齢の方が言わなそうな単語を連呼するところだ。
ちなみにこの講師は東映アニメーションの方で、『セーラームーン』の話はよく例にあげられる。老人とセーラームーン。なんだかスイカと天ぷらみたいな食い合わせの悪さが、たまらなく楽しい。まるで老人に対するいやがらせ、月に代わったおしおき、のような感じである。
でも、あと数年後、ぼくらが老人になるころには、誰もが入れ歯をカタカタさせて「しぇーらーむーん」などと言う時代が来る。そう思うと、いまのうちにこのチグハグさを楽しんでおくべきだという気がする。
アニマックス(スカパーのチャンネル)で『ドラゴンボールGT』を見る。
この『GT』は『ドラゴンボールZ』につづくシリーズで、原作から離れたオリジナルストーリーである。ちらっと見ただけなので内容はともかく、亀仙人の声優が代わっていて、聞きなれない声にとまどった。
なんらかの原因で声優が交代したんだろう。『Z』の数年後という設定なので、絵的にもジジイになった亀仙人だが、作品の外でも歳をとっていたのだ。シリーズならでは老け方である。そういえば長寿アニメ『サザエさん』のカツオも声が代わった。ルパンのテレビスペシャルの声優も、むかしの勢いがない。
アニメのキャラは、姿はかわらないが、声は確実にかわる。みんな平等に歳をとる。
天国をつくる装置があったらしい。
とはいっても、はるか雲の上につくるのではなく、ある小屋のなかに人間が入って出てくると、いま住んでいる地上が一変して天国になっているという装置である。なにやらすごい。
しかしその装置は、せまい小屋にあらゆる不快なものを詰めこむだけ。とびきり不快な小屋で二週間もすごせば、地獄のような地上も天国に早代わり、という仕組みなのだ。要するに、ものの見方をかえさせる装置なのである。生活のくるしい戦争中に実際に使われた装置だそうだ。
実をいうと、この日記は携帯電話で書いている(後にメールで送る)。携帯のボタン入力という地獄を体験すれば、明日からのキーボードで、つらい日記書きも楽しくなるにちがいない。ナイスアイデアだと思う。
ただし、これを頻繁にやってしまうと、携帯のボタン入力がめきめき上達してしまい、キーボード入力との差がなくなってしまうだろう。こうなれば、どちらに転んでも地獄しか待っていない最悪の状態である。極楽浄土に向かうはずでも、欲を出してしまうとダメなのだ。参考にされる方は注意されたい。
こんな状態を「もとの木阿弥」と言うんだろう。
「国かまえ」のなかに「書」と書いて「としょかん」と読むのだそうだ。はじめて知った。
もともと中国語の通訳者である杜 定友さんが、「圖書館」の三文字 40 画を書くのが手間だということで考案された文字らしい。古い漢字なので残念ながらパソコンでは表示されない。 むかし『笑っていいとも!』で、視聴者に新しい漢字を考えてもらうコーナーがあった。ほとんど記憶にないが、「足」の下部に輪をふたつ書いて「ローラースケート」と読ませる漢字はいまでもよく憶えている(そのころ人気があったのは光ゲンジである)。
この「ローラースケート」「としょかん」の会意漢字は、合わせる文字のセンスと、統合された意味のバランスが、すばらしくカッコイイ(「ローラースケート」は厳密には会意ではないが)。
…で、このすばらしさをくどくど解説した文章を書いたんですが、少々うざく、そして共感を得られなそうなのでやめました。でも「としょかん」って激カッコイイじゃないですか。いつかどこかで使いたい。
虎舞竜の『ロード』がついに13章まで完結したらしい。
ぼくはやらないが、その日の気分を音楽でもり上げる人がいる。ハッピーな気分だったら明るいポップスを、今日も気合を入れるぞと思ったらノリのいいロックを、とこんな感じで選曲するのだ。
その点で虎舞竜の『ロード』は、「つらく苦しいことばかりの人生に、ほのかな希望の光を見つけたい…」という気分にぴったりである(最期の「…」がポイント)。一曲 4 分弱としても、 13 章をすべて聴けば、たっぷり一時間はそんな気分にひたれる。ひたれてしまう…。
買う買わないはともかく、店で見つけたら思わず手に取ってしまいそうだ。
それが『ロード』の魔力である…。
今日,博士が,人口乳首の開発に成功しました.いきなり人口乳首といわれても,ピンとこない方のために,助手のわたしが,少し説明しましょう.
形態は,乳首そっくりのピップエレキバンといった感じで,それを貼ると,仕掛けられた 2.8 fm の繊毛センサー( 1 fm = 10-15 m )が,まるで球根の根のように,体内のいちばん近い海綿体へと伸びます.そして,そのエレキバンをいじれば,人体のあらゆる部位で,乳首と同じような快感をえることができるのです.
わたしは,仕事さえすれば給料が入るので,特に気にしていませんが,この発明をきちがいじみたものだと思う方も,多いことでしょう.博士は,完成したときのために,壁や床をクリームで塗りたくった部屋まで,しっかり用意しています.もちろん,全身に人口乳首をつけて,その部屋でゴロゴロ転がるためです.
そしていま,博士は乳首だらけの体で,その部屋に入っていきました.おもてのわたしのところまで,喜びとも,悲しみともつかない,博士の絶叫が,壁をとおして聞こえてきます.
博士が,なかなか部屋から出てこないので,心配になって見にいくと,気味の悪い笑みを浮かべながら,気絶していました.急いでわたしが駆けつけると,博士は弾かれたように起きあがり,わけのわからないことを叫んでから,研究室の機械を,近くにあった鉄棒で叩きじめました.
それから博士は,動力室(この研究所は自家発電で電力の補充をしています)の方へ行ったので,わたしは恐ろしくなって,逃げだしました.しばらくして,研究所は大きな爆音とともに,消えてなくなりました.
実験のデータやサンプル,試作品なども,爆発に巻きこまれ,すべて焼失しました.わたしは,これでよかったのだ,と思います.博士のように貼用して,錯乱してしまう人が増えれば,軍隊に悪用され,危険な兵器として使われることも,あったかもしれないのですから.
ひとり残されたわたしは,煙の立ちのぼる研究所の残骸から,ドリフの爆発コントみたいな髪形をした博士が,ひょっこり現れないことを,ただただ,祈るばかりでした.