渋谷でふたつの飲み会に参加しました。ひとつは某ファンクラブで面子はさまざま。もうひとつは学生時代の友人で某テレビ局関係者と某芸術家関係者。まるでちがう飲み会でしたが、アニメの話題ばっかりでした。印象に残ったことをずらずらならべてみます。
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渋谷でふたつの飲み会に参加しました。ひとつは某ファンクラブで面子はさまざま。もうひとつは学生時代の友人で某テレビ局関係者と某芸術家関係者。まるでちがう飲み会でしたが、アニメの話題ばっかりでした。印象に残ったことをずらずらならべてみます。
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ニンテンドーDSの『マリオ&ルイージRPG2x2』をクリアしました。だいたい20時間ほど。タイムホールで現在と過去を行きかい、マリオとルイージ、そしてベビィマリオとベビィルイージの四人でゲドンゴの魔の手からキノコ王国を救え! という内容。おもしろかった。
フィールドでもバトルでも、一瞬たりとも気が抜けないアクション性の高さは毎度のようにすばらしく、飽きさせません。マリオとルイージがおたがいの足首を持って輪のようになり、ぐるぐる回る技は『柔道一直線』の地獄車のようでした。ベビィたちをその地獄車でぺちゃんこにつぶすと、せまい隙間に入りこめたり、下から扇風機で送られる風に乗って高く飛び上がれたりします。四人が協力しないと解けないパズルのようなフィールドです。
イベントごとの寸劇が楽しかった。ルイージはいじられキャラに磨きがかかってきましたね。でも、くり返しいじりつつも、ルイージの気弱さをみんなでサポートするイベントがあったりして、とてもよかった。四人の協力プレイで解いていくゲームだからこそ引き立つイベントだと思います。
ふだん大人はベビィをおんぶして歩き回るんですが、一歩ふみ出すごとにベビィの帽子が上下に揺れるんですよ。なんてことのない動きですが、これが実によかった。帽子のゆるゆる感が子供という表現になっているわけです。ベビィマリオが一回転すると帽子がよけいにもう一回転する動きもかわいい。
関係ない話ですけど、ファイナルファンタジーなどをプレイすると「あ、バカにされてる!」と感じてしまいます。たとえばCGムービーの決め台詞で「わたしはここにいるよっ」なんて言われると、そんなクソ台詞で感動すると思われてるのかオレは、どんだけなめられているんだ、と思ってしまう。
ところが任天堂のゲームにはその種のイライラがまったくありません。飛んだり跳ねたりとやってる内容は子供っぽいのに、プレイヤーは子供あつかいされない。このちがいは、けっこう大きいと思います。

ドトールでリンゴのチーズケーキを食べました。クリーム、スポンジ、りんご果肉入りのレアチーズが段になっています。ケーキとしてはおいしいですが、チーズケーキっぽくはありません。けしからんので、うむを言わせず(ふつう言いませんが)むしゃむしゃいただきました。ドトールも価格や味が「ふつう」なところがすてきだと思います。

エクセルシオールカフェでパルミジャーノ(チーズケーキ)を食べました。名前のとおりパルミジャーノを焼いたしょっぱいチーズと、下にオレオみたいな味のスポンジが敷いてあります。どうせ格好つけたドトールだろ、と思ってたんですが、けっこうおいしくておどろきました。甘すぎない大人のチーズケーキでしょうか。量が多いのもいいですね。あんまり褒めてハードルを上げるのもなんですが、たまに食べるとちょうどいいチーズケーキだと思います。一度、おためしあれ。

夢庵で豆乳のチーズケーキを食べました。ふわふわの甘いチーズのなかに酸味のきいたラズベリーソースが入ってます。夢庵ができた当初からあるメニューで、わたしもたくさん食べましたが、きわめてふつう(褒めてます)のおいしさです。ねじりをつけるために敷いてあるガーゼにチーズがこびりつくので、食べるのにちょっと工夫が要ります。
あらゆる価値観が多様化されたいま、わたしたちが「味のスタンダード」を見失わないのは、ひょっとしたら今日とりあげたようなお店のおかげじゃないかと思ったりします。わたしはなにかを食べたときに「ジョナサンとくらべてどうか」を基準にしています。
吉村作治『ピラミッド文明・ナイルの旅』を読みました。地中海に面したデルタ地帯から、ナイル川の流れをさかのぼるように、アスワンハイダムまで南下して、それぞれの土地でなにがあったか、どんな遺跡があるか、生活、思想などを明らかにしていきます。
この本も『ピラミッドの謎』みたいにおなじみの話題が多いのですが、古代エジプトのおもしろいポイントを大きく俯瞰できるところが実に良かったです。図書館レンタルだったんですが、わざわざ買いなおして、赤ペンでぐりぐりマーキングしながら味わいました。とてもいい本だと思います。
古代エジプトの創世神話に出てくるオリシス神とセト神の戦いは、第一王朝から第三王朝までにじっさいに起こった王位争奪をもとにして生まれた、という指摘は大いにうなづきながら読みました。日本神話と似てる……というより神話はそういうものと考えたほうがいいんでしょう。
ナポレオンとオベリスクの話は笑いました。ナポレオンに「オベリスクがほしい」と言われたムハンマド・アリは「あんなデカイもの運べないだろう」とOKする。すると、フランスから軍隊を引きつれてきて、軍艦に乗せてオベリスクを持って帰ってしまった。目をむいて「ええー!」とおろどくムハンマド・アリの顔が想像できます。
物語としておもしろいのは、やっぱり「ハトシェプスト女王」と「ツタンカーテン→ツタンカーメン」ですね。
唯一の女性ファラオであるハトシェプストは内政を重視して、戦争をしないで交易を行った名君です。ふだんは男装していたらしいですが、恋人のセンムトと逢いびきするときだけは女性にもどったのかなあ、なんて妄想がふくらみます。トトメス三世は権力を奪われたことを恨んだのか、ハトシェプスト女王の彫像やレリーフを破壊したらしいですし、まわりのうわさもひどかった。ジェンダーと恋と権力の物語が動きだすピースがぎっしりつまってます。
「ツタンカーテン→ツタンカーメン」は「多神教→一神教→多神教」という流れで捉えるとおもしろいです。アメンヘテプ三世とその息子のアクエンアテンは、アメン神を中心とする伝統的な神々よりも、アテン神への信仰を強くする。
義母ネフェルティティはツタンカーテンを王位につけてますますアテン信仰を確かなものにしよう考える。いっぽう、それをこころよく思わないテーベ派は、逆に、ツタンカーテンを王位につけてアメン神や伝統的な神々を復興しようと考える。政治的な宗教改革に巻きこまれる、幼いツタンカーテン。
多神教の世界で一神教を説いたアクエンアテンは、伝統的な神々の神殿や神像を破壊するなど、あまりに急激な宗教改革を行ったせいで、みんながついていけなかった。けっきょくクーデターによって死んでしまう。その後、王位についたツタンカーテンは名前をツタンカーメンにあらため、ふたたびアメン神と伝統的な神々を復興する。名前の「テン」とか「メン」はアテン神とアメン神のことですね。
少年王ツタンカーメンと王妃アンケセナーメンは仲睦まじかったそうです。「彼女はツタンカーメンが少年の心にもどれる唯一の人だったのです」と吉村作治さんは書きます。ここにも宗教と恋と権力の物語が動きだすピースがぎっしりつまってます。
吉村作治『ピラミッドの謎』を読みました。2005年に未盗掘の完全ミイラ「セヌウ」を発見した興奮冷めやらぬままに書いてる感じですね。
ダハシュール北遺跡にピットが見つかって掘り進めていくあたりの描写は臨場感たっぷり。木棺はノミで打って開けるんですが、エジプト係官の仕事は荒っぽい。でも日本人が手を出すと外交問題になりかねないため、「たのむから丁寧にやってくれ!」とじりじり待つあたりの描写が良かったです。『世界ふしぎ発見!』に登場したあのスタッフたちががんばっていたんだろうなあと現場を想像しながら読みました。
「セヌウ」はおそらくヌビアとの国境守備隊長で、オペラ『アイーダ』のラダメス将軍のような人らしいです。発見された墓には副葬品がなく、盗掘を恐れての隠し墓(カシェ)だった。
ミイラをCTスキャンにかけて「セヌウ」の生前の顔を復元してみると、ミイラマスクに似ていない。おそらくデスマスクからミイラマスクをつくるという定説がまちがっていて、すでに何種類かできあがっているミイラマスクのなかから親族が料金と好みに合わせて選んでいたんだろうと吉村さんは考えます。
ツタンカーメンの復顔もミイラマスクに似てないのですが、こちらは衣装合わせ用のマネキンがあったように、ミイラマスク用のマネキンがつくられたのではないかと推測されています。まだまだわからないことだらけですが、発掘によって謎が明らかになったり、逆に謎が深まったりと、古代エジプトはおもしろの宝庫ですね。
この本の中盤からは、いつもの「ピラミッド非王墓説」や、ミイラのつくり方、カーターとツタンカーメン、ピラミッド建造法と公共事業説、古代エジプト三大美女という、この手の本ではおなじみの話題でした。
森博嗣『スカイ・クロラ』を読みました。端的で詩情のあることばでつむがれた小説です。あっという間に読み終わりました。おもしろかった。いきなり冒頭から絵があったらアウトな場面、もっと言えば男女の顔が見えてしまったらつまらなくなる場面でおどろきました。ひじょうに小説らしい表現だと思います。
押井守さんがいままでのやり方を捨てて映画化するらしいですが、わたしはおなじみの押井スタイルで映画化されたらどうなるかを妄想しながら読みました。押井スタイルをざっくり言ってしまえば、「アメリカンな内容をヨーロピアンな表現でまとめたもの」と「さがすことの主題を描くもの」でしょうか。
「アメリカンな内容をヨーロピアンな表現でまとめたもの」とは? たとえば警察が非合法な手段を使ってテロリストをつかまえる内容を、ところどころ「それってアンドレイ・なにコフスキー?」な表現でまとめた作品が『機動警察パトレイバー2 the Movie』になります。
「さがすことの主題を描くもの」とは? 『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』から『イノセンス』まで、押井守さんの代表的な作品はだいたいこんな構成になってます。
(起)なにかを失う、あるいは、すでに失っている
(承)なにかをさがしはじめる
(転)なにかが見つかる……クライマックスはここらへん
(結)決定的に状況が変わる……その後どうなるかは観客の想像におまかせ
いまさらな解説ですが、押井スタイルはこんな感じだと思います。もちろん細かく見ていけばしっくりこないところは出てきますが、あくまでざっくりと、大ざっぱな特徴です。このふたつの特徴を盛りつけて、上からぱぱっと犬とか戦争とか宗教性をまぶして仕上げれば、うそ押井守作品の一丁あがりです。
さて、うそ『スカイクロラ』はどんな映画になるか? 原作小説を読みながらあれこれ妄想すれば、小一時間は暇がつぶせますよ。作品のワールド・モデル(ショーとしての戦争)と、キルドレの設定をさがすことを通して明らかにしてく内容かしら? なんてふうに。

成城石井のプレミアムチーズケーキを食べました。これはうまいです。食べて損はしません。上にはサクサクのクッキーみたいなもの(シュトロイゼルと言うらしい)、まんなかにはアーモンドとレーズンの入った濃厚なクリームチーズ、下にはどっしりとしたパウンドケーキ。
チーズだけで食べるとのどが焼けそうなほど濃いのですが、三段あわせて食べるとちょうどいいハーモニーを奏でます。誰かが「チーズケーキの三位一体やー」と言ったとか言わなかったとか。チーズケーキはシンプル・イズ・ベストだと番長は思うのですが、これはバランスの勝利といったおいしさでした。
これをお土産でもらったら、きっと7分くらいは小躍りするでしょう。お値段はそれなりですが、おすすめです。
『こころに染みる 毛筆で書く 相田みつをDS』はニンテンドーDSのソフトのなかでも一二を争う珍作でしょう。タッチペンを使ってみつを先生の字をなぞったり、自分で書いてみるソフトです。線をひいた距離が加算され、それがあるていど長くなると、みつを先生の作品がギャラリーに追加されていきます。
ゲーム性は皆無ですが、これは楽しませてくれるものじゃなくて、積極的に楽しみにいくものだと思います。わたしはけっこう楽しめました。自筆の作品をいくつか紹介します。

まずはちゃんと書いてみる。帝網無礙は華厳のことばです。

世間虚仮は聖徳太子のことばです。

いきなりの告白。生地の厚い日本風も、生地の薄いイタリア風も、両方とも好きです。

好きな落語の演目です。

『ゴドーを待ちながら』の名ゼリフ。ここで笑いました。

ときかけブログ、お疲れさまでした。

雑味がすてきな名作。

他人には質素倹約をすすめつつ、自分はぜいたくな暮らしをする人。嫌いじゃないです。

DSを見て梵字が書いてあったらそうとう気持ち悪いだろうな、と思って。

虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画の総称。とぼけた字ですが。

お蝶夫人です。そしてその愛。

あなたの美しい生活のために。

さよならエマニエル夫人。
テレビはほとんど見ませんでしたが、お笑いでは、矢野顕子漫談のエハラマサヒロさんがいろいろな意味でやばかったです。歌もトークも矢野顕子さんにそっくりなんですが、いったいどれくらいの人が「似てるなあ」と感じられるのか。矢野顕子さんがお茶の間でどのくらいのポジションにいるのかわかりません。ご本人と、清水ミチコさんと、エハラさんでトリオ矢野顕子をやってほしいです。
ラジオでは、楽しみにしていた金剛地武志さんの『TOMORROW』が終了。ユリゲラーなどの変なコーナーがおもしろかった。売れる前の小島よしおさんを知ったのもこの番組でした。ラジオで見えないのに「そんなの関係ねえ」を振りつきでやってましたよ。
安藤裕子さんの『OH! MY RADIO 木曜日』も楽しみにしていたんですが終了。犬神家の朗読がよかった。ラブちゃんの占いコーナーもおもしろかったなあ。この番組で清水ミチコさんの名曲『メリークリスマス ミスター 一休さん』がかかったときは小躍りしました。安藤裕子さんによるオメガトライブのカバー『君は1000%』は最高です。
伊集院光さんの『深夜の馬鹿力』はコーナー乱立でどうなることか心配しましたが、相変わらずのおもしろさ。いまは「ナイナイあるある」コーナーが好きです。あまり人に語ったことはないのですが、わたしは中学生のころから伊集院光さんのラジオを聴きつづけています。
『談志・太田の今夜はふたりで』は、談志さん言うところのイリュージョン、飛び方を楽しむ番組ですね。ぽくぽく木魚を叩きながら、でたらめなおしゃべりをします。著書の『現代落語論』を読んだり、『落語チャンチャカチャン』を聴けばわかるとおり、談志さんはこういうイリュージョンの研究者なので、ぜひやりたかった(復活させたかった)番組のひとつなんでしょう。
松尾潔さんの『THE UNIVERSE 月曜日』は美メロなブラックミュージックが聴けるので楽しみにしています。松尾潔さんのラジオも中学生のころに聴いてました。当時と同じようにブラックミュージックにミドルはない(?)理論を語ったりしています。山下達郎さんがゲストの回は、音楽マニア同士、おたがいのテリトリーを尊重しあう様子がよかった。とあるスーパーの店主がブラックミュージック好きだった、という話で笑いました。
小曽根真さんの『ASAHI BEER OZ MEETS JAZZ』も楽しみに聴いてます。肩ひじ張らないJAZZ番組で、長い曲や難解な曲はあまりかからないのですが、軽快なトークも楽しく、できるだけ長くつづいてほしい番組のひとつです。小曽根さんがフォークやクラシックを自己流に解釈して演奏するのがすばらしい。
岡田准一さんの『Growing Reed』はラジオの知的番組では頭ひとつ抜けてます。専門家を招いてたっぷり語ってもらう内容で、番組ホームページの過去の記事を読んでもわかるように、毎回のように濃いです。わたしはうなぎの回が印象的でした。これまた、できるだけ長くつづいてほしい番組のひとつですね。岡田准一さんは声だけでもかっこいいです。わたしは美しい人が好きです。
ショーンKさんの『DAIWA SHOKEN MAKE IT 21』も毎回おもしろい。成功したビジネスマンは熱い人が多くて、Production I.Gの石川光久さんが出演したときもまったく違和感がありませんでした。コンサルティングのコーナーも聴かせます。アニメーターには関係ない話なんですけども。
『SCHOOL OF LOCK!』は年単位のスパンで聴くと味わい深い番組だとわかりますね。電話で「死にたい」と言っていた女の子が、しばらくして「カレシができました!」なんてすっかり元気になった声を聴くと、こちらも元気をもらったような気分になります。事故で恋人を失った高校生の電話は、ほとんどしゃべれず、しくしく泣いているだけでしたが、お定まりの「命の大切さ」をぽろっと語るところで、わたしはその切実さに打たれました。We are the Manta!
木村カエラ師匠の『OH! MY RADIO 火曜日』はすでに横綱相撲の風格があります。カエラ師匠の変な発言がウケていると番組スタッフが気づき、わざわざ暴言を吐くコーナーがつくられたんですが、これはいただけませんでした。自然なところがいいんですから。たとえば森光子さんが年齢のサバをよんでいるという話題で盛り上がったとき、急に4秒くらい無音がつづいて、すかさず「でもキレイだよね!」とフォローを入れたりするのがおもしろいんです。たぶん空白の4秒のあいだに怒られたんだろうなーという。これは芸能界のしきたりに染まらないだけで、天然ボケじゃないんですよね。木村カエラ師匠は、タモリ師匠、哀川翔師匠みたいな「頭がいい人」だと思ってます。わたしはカエラ師匠の話をしだすと長くなり、いっとき同居人がヘキエキしていたほどなので、ここらへんでやめておきます。
ラジオはAMをふくめてまだまだ語りたい番組が多いのですが、このへんで。ばくぜんと感じるのは、音楽好きがラジオから離れていること。音楽的に濃い番組はたしかに少ないですが、探せばそれなりにはあります。
iPodを捨てよ、ラジオを聴こう。
去年のテレビアニメでは『のだめカンタービレ』、まだ放送中ですが『逆境無頼カイジ』と『銀魂』を押します。アニメーターのくせにアニメをほとんど見てなくて申し訳ない。参加した作品が完成したらもらえる白バコ(焼いたDVDが多くなった)をチェックするくらいです。
ほかでは、『らき☆すた』第一話の冒頭8カットと、第三話の姉妹を同じポジションでつなぐ危険なカット割りが印象的でした。『電脳コイル』の井上俊之さんと板津匡覧さんの仕事ぶりはすごかった。テレビ『クレヨンしんちゃん』でカッパが登場する回を『河童のクウと夏休み』演出処理の石田暢さんがやるというお遊びも楽しかった。
某社の演出さんが脚本を無視して没をくらった絵コンテと、その後のふてくされ具体もふくめて、おもしろかったです。時代が追いつくまであきらめずにがんばってほしい。
年末の飲みの席で「すごい作画は要らない、そこそこの作画で統一できるならそれでよい」とか「エフェクトは違和感がなければCGでよい」という話をしたところ、動かし屋の若手アニメーターに「平川さんはそっちの人ですか」と言われたのが印象深かったです。一般の人に伝わらないほど進化した通好みな作画をどうあつかうかは、これからのアニメの課題だと思います。わたしは中道をとる。脚本とコンテはぐずぐずだけどよく動く作品のような、エモーションを欠いたモーションが嫌いなので。
映画では『リトル・ミス・サンシャイン』と『河童のクウと夏休み』を押します。わたしは単純な映画が好きなようです。あと『叫』のすっからかんで寒そうな湾岸地帯もよかった。ちぎれたビニールが鉄骨にからまって風に揺れる画面もぐっときます。去年はお金がなかったこともあって、ルビッチ、スピルバーグ、アルドリッチ、イーストウッドをDVDで見直していました。わびしいなあ。
『マイノリティ・リポート』のふたりが追っ手から逃げるくだりで、風船の束と傘が死角になってまんまと逃げおおせる場面があります。それがちょうど『ボーン・アルティメイタム』のある場面に似ていました。つい比較しながら見てしまったのですが、近未来が舞台の『マイノリティ・リポート』の方がよっぽど古い時代を描いているように見えるんですよね。風船とか傘とかに隠れるなんて、まるで子供が思いつきそうなアイデアだし、きっと西部劇であっても同じアイデアを使えるでしょう。こういう『マイノリティ・リポート』のドリフというかホークスみたいな演出と、『ボーン・アルティメイタム』のたくさんの監視カメラを使ったいまどきの演出と、どちらが好きかといわれれば、わたしは確実に前者です。
そういうガンコジジイ体質のせいもあって、映画館でイライラすることが毎年増えているような気がします。『クワイエットルームにようこそ』なんて「内田有紀がかわいかった」くらいしか言うことがない……。ひじょうに残念です、自分が。
『河童のクウと夏休み』は制作のはじめから参加して、いろいろ勉強させてもらいました。映画づくりは「わかってない人たちとの戦い」ということを実感しました。まあ、映画=芸術=商品だからあたり前の話ですが。