アニメ Archive

『川の光』の受賞と再放送

アース・ビジョン 第18回地球環境映像祭にて、私の初監督作品『川の光』が子どもアース・ビジョン賞をいただきました。作品のスタッフ、そして視聴&応援していただいたみなさまに感謝です。

『川の光』は2010年3月16日の午後6:45~8:00に、BSハイビジョンでまたまた再放送があるそうです。去年6月の本放送から数えて、これで6回目の放送になります。ハイビジョンというだけあって今回は画質が良いらしいので、ぜひ美しい美術を見ていただきたいと思います。

川の光

twitter-log 動画マンのころ

  • 2008/04/14
    動画マンのころ:私のアニメーターとしての初仕事は小池健監督『World Record(アニマトリックス)』。そのあと川尻監督『X(CLAMP原作)』、りん監督『CAPTAIN HERLOCK』をやった。線も影も多く、動画初心者にはつらい仕事だったし、じっさい稼げなかった。
  • 2008/04/14
    動画マンのころ:当時の私は、線も影も動きも少ない『デ・ジ・キャラット』に食べさせてもらっていた。昔から萌えアニメが苦手なのだけど、いま私がアニメーターをつづけていられるのは、デジコのおかげかもしれないと思う。
  • 2008/04/14
    動画マンのころ:余談。古いビルのころ、中国からマッドハウスに研修にきた人が「こんな猫の霊が憑いている会社では働けない!」とすぐに帰ってしまったそうだ。そのとき、まさか……と『デ・ジ・キャラット』のポスターをみんなで見つめた、という笑い話が残っている。

補足:私はマッドハウス出身です。

twitter-log ネズミの生物学

  • 2008/08/06
    日本のイエネズミ(ドブ・クマ・ハツカ)が巣にエサを貯蔵しなくなったように、奈良の鹿は長期的には独自の進化を遂げると思う。
  • 2008/08/09
    クマネズミは東南アジア森林地帯が原産で、遣唐使船で日本に入ったと言われる。でも登呂遺跡の弥生家屋の柱に「ネズミ返し」があったので、クマネズミのような樹上性適応をもち、登攀力に優れた種がすでにいたんだろうと思う。
  • 2008/08/10
    北京原人の遺跡からネズミ化石が、ヨーロッパ石器時代の遺跡からはラトゥス化石が見つかった。ネズミが人間への依存(シナントロープ化)を完成したのはインダス文明のころと考えられている。そして現代の都市はネズミのいない場所が「ない」。見えないだけで、駅を中心に放射線状に分布している。
  • 2008/08/10
    イエネズミの住家性適応はそのまま船舶や航空機の適応にも当てはまり、十字軍の遠征や大航海時代に世界中へ分散した。アメリカ合衆国が建国されるころにはクマネズミは北アメリカでふつうに見られる動物になっていた。げっ歯目が生息しない場所は、コウモリしか飛んで渡れない海洋島くらいだという。
  • 2008/08/10
    哺乳類4600種のうち、げっ歯目は1/3の1700種を占める。ネズミ科のみで1100種。この種の多さ、グループの多さは、あらゆる環境への適応力の高さを示す。ネズミは砂漠、高地、高緯度、さまざまに分布する。寒冷地では冬眠する種もいるという。
  • 2008/08/10
    ネズミは21日間隔で出産し、一年で約9364匹に増える、哺乳類一の多産戦略を取る。また無毛で目の開かない幼弱状態で生まれ、わずか三週間で這いまわり固形食を口にし、七週間で性成熟(交尾可能)する。ネズミの個体数(ポピュレーション)は多産と成熟の速さで維持されるのだ。
  • 2008/08/10
    14世紀ヨーロッパはペストで約500万人が死亡。1994年インドはペストで4793人が入院、51人が死亡。1898年日本はペストで60人が死亡。山本松谷『風俗画報』には明治33年の街の風景として籠に入れたネズミを役場に運ぶ女性が描かれた。ペスト対策として一匹一銭で買い取ったのだ。
  • 2008/08/10
    殺鼠剤はアリストテレス時代からある。日本ではワルファリン、クマリン、エンドックスが使われるが、市場が小さく厚生労働省の規定が厳しいため強い薬がつくれない。江戸時代は砒素化合物を使った。明治時代は青酸ガスや一酸化炭素を使ったが、人間にも効くため事故が起きたり、自殺に使われたという。
  • 2008/08/10
    ネズミが伝播する病原体はサルモネラ菌、ボレビア菌、リステリア菌など。赤痢、レプトスピラ症、ワイル病、ダニを仲介してツツガムシ病、ノミを仲介してペストを広げる。人獣共通感染の腎症候性出血熱ハンタウィルス症候群が問題になっている。東京湾・湾岸地域のドブネズミが捕菌するらしい。
  • 2008/08/10
    ドブネズミは肉食で異種・同種のネズミも食べる。経済発展途上ではドブネズミの天下だが、急な斜面を登れず、殺鼠剤に弱い。クマネズミは急な斜面を登り、泳ぎもうまく、殺鼠剤に耐性を持つため経済発展でビルが乱立するとクマネズミの天下になる。ハツカネズミは食物も少なく、主に農村で繁栄する。
  • 2008/08/10
    人間社会が営まれるかぎりイエネズミ(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)は必ず人とともに生きていく。イエネズミの排除は不可能である。いまのところ……。
  • 2008/08/10
    承太郎「さて狩りに向かうぞ」 仗助「説明が長すぎっすよぉ~」
  • 2008/09/20
    @kanose 斉藤隆『森のねずみの生態学(2002)』でもディズニーの記録映画が嘘で、レミングの集団自殺説は妥当性がないと書いてありました。レミングは自己犠牲的な行動の進化が考えられず、集団を維持するための自殺はありえない、そもそも泳ぎがうまいから自殺にならない、とありました。
  • 2008/09/20
    @kanose レミングの中でもモリレミングは、突然変異型の染色体でY染色体の働きが抑えられ性比が偏り、メスが増えてしまうそうです。突然変異型の遺伝子なのに淘汰されない理由は解明されてなく、またレミングの個体数が大きく変動することに関係しているかもしれない、とのことです。
  • 2008/09/20
    @kanose 水辺でネズミの死骸が発見された報告はしばしばあるようです。レミングと同じように、日本ではノネズミが大発生したあとに長野県の小黒川、神奈川県の芦ノ湖などで大量の死骸が発見されています。つい「集団自殺だ!」と思ってしまう観察者の主観の問題なのかもしれませんね。
  • 2008/09/20
    さて「食いつく」といえば東南アジアなどに生息するオニネズミだ。オニネズミは穀倉地帯を荒らし、米や野菜を持っていく上に、幼児に噛みついて怪我をさせる。まさに鬼。しかし成体の体重が1キロと大きいので世界中に広まることはなかった。参照:http://tinyurl.com/3gtxyw
  • 2008/09/20
    タイムラインに齧歯目の話題を見つけたら、なんでも食いつくアニメーター。まるで狂犬のよう。

補足:ネズミが主人公の長編アニメ『川の光』を演出するにあたって調べたことの一部である。このような作品づくりの資料は「100調べて、2使う」くらいになるが、浮ついた表現を避けるためには欠かせない作業だと思った。学問的な常識に従ったアニメ表現にしようというのではなく、「どのような嘘をつくか」という方向性を決めることに資料は役に立った。

twitter-log サザエさん

  • 2008/12/26
    二人の子供を前にして、魚屋が「二匹も買えないから頭つきで二枚におろした」と鯉のぼりをひらきにして吊るす。この漫画『サザエさん』のネタに大いに笑い、深く感動した。
  • 2008/12/30
    漫画『サザエさん』は面白い。波平とフネがシーソーに乗って遊ぶコマで、フネは両足をそろえて座っていたりして、和服だからよく考えればそうなんだけど、なるほどと思った。サザエに服装を気をつけなさい、と叱るフネの「男の目をスパークさせます!だからショートパンツというんです!!」に笑った。
  • 2008/12/30
    さ~て LUSH のサザエさんは? マスオです。風呂場で見つけた石鹸の名前におどろきました。ワカメもお年頃になったら使うんでしょうかね。さて次回は「天使の優しさ」「ゴスの聖書(バイブル)」「ヴィーナス誕生」の三本です。来週もまた見てくださいね。ぶくぶく。

補足:わたしの師匠である原恵一さんのおすすめで漫画『サザエさん』をこつこつ集めて読みはじめた。

サザエさん (1)

twitter-log 押井守

  • 2008/07/02
    タモリ「髪切った?」押井守「敵とは異なっていながら、しかも目につきにくい服装ってのは難しいもんさ。俺の仕事ではそれが特に重要」タモリ「空手で肉体改造したと」押井「特殊化の果てにあるのは緩やかな死よ」タモリ「ゲストに来るのをお待ちしてました」押井「だから遅すぎたといってるんだ!」
  • 2008/07/03
    今日の『笑っていいとも』:ゲストは押井守のはずだったが、一匹の犬が登場し、首からさげた紙袋から『スカイ・クロラ』のポスターを出す。その後、イスにちょこんと座り、たまに吠えたり、時間いっぱいまでタモリがのどをなでたりなど接待をする。次回のゲストは谷原章介。
  • 2008/08/15
    押井まもる・せめる「虚構ってありますね」「大きいチンコ」「それは巨根!」「チンコを切る」「それは去勢!チンコ離れろ」「夢を見まして」「ほう」「私は夢でも下ネタ全開」「性格でるね」「最近、夢と現実の下ネタが区別できなくて」「どっちも下品!」「実はまだ夢から覚めてないんです」「……」
  • 2008/08/21
    映画『スカイ・クロラ』はセクシャルな場面で壷を出すのがよかった。直接描写はしないけど壷を見せることで「あ、やったんだな」と思わせる演出は地味にうまいと思った。「壷=性」はどんな深い意味が込められているのか、なんて考える人もいそうだけど、これは小津『晩春』へのオマージュだろJK。
  • 2008/08/28
    ケータイ捜査官7:歌手の歌い方が自分のものまねに似ていくように、押井守さんの作家性・演出もまるで過去の自作をまねしているようだ。しかし、あるていどキャリアを重ねれば誰でもこの道を通るわけで、それが成長であり老衰なんだろうと思う。

補足:このとき押井守さんが『笑っていいとも』に出演したことが話題になっていた。あらためて押井さん関係の投稿をまとめてみたら、くだらないネタばかりの自分にがっかり。

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twitter-log アニメ麻雀

  • 2008/08/28
    アニメ麻雀:宮崎駿は配牌も打牌もでたらめだが、なぜか国士無双を上がるなどする。押井守は理屈っぽいわりにオカルトな打ち筋で、こっそり流し満貫を狙うのが得意。今敏は合理的なデジタル麻雀で危険牌もばんばん打ち、喰いタンが得意。庵野秀明は麻雀ができない。大友克洋は牌の絵柄を彫っている。
  • 2008/08/28
    アニメ麻雀:高畑勲は平和がらみの手堅い打ち筋でリーチが入ると怖い、ツモ重視は共産主義のなごりか。富野由悠季は三味線を弾くが小和了でコツコツ稼ぐ、不器用なせいかたまに山を崩してゲームを台なしに。出崎統は上がれば満貫以上の大きい手を狙う豪腕、ここぞという場面で三暗刻を決める。

twitter-log 宮崎駿と宮崎吾朗

  • 2008/03/18
    googleでも出てこないが、宮崎駿『シュナの旅』はチベット民話「犬になった王子」をもとにしているものの、同型の民話は日本にもある。それは「穀物盗み(IT9)」で、御伽草子にもあるし、『古事記』や『日本書紀』の神話にも同じモチーフはある。
  • 2008/03/18
    ただし「犬になった王子」は女の子が男の子を救うという点で宮崎駿的だと思う。穀物盗みの類型は名前のとおり「穀物を盗む」ことがポイントで、登場人物はいろいろ。弘法大師が主人公だったりもする。
  • 2008/05/16
    麻丘めぐみ「アルプスの少女」はとってもいけない歌だ。”スカートの裾がひるがえる、ダメよ、あの人に見られたら恥ずかしいわ、恋してるアルプスの少女”。宮崎駿さんが聴いたら怒り出すぞ!
  • 2008/07/28
    『崖の上のポニョ』の唯一の不満はだらしないスローモーションの使い方だった。わずか数カットだけだが、ヌーヴェルヴァーグ以来のシネフィル的にはNGだし、アニメーションの「時間への誠実さ」もOUTだろう。この一点のみは「宮崎駿、老いたり」と感じさせた。
  • 2008/08/01
    宮崎駿はスーパーマンに登場するロボットをそっくりにまねした。よく「ビデオもない時代に…」とか「記憶力が…」とか言われるが、紙と鉛筆でメモくらいできただろうと思う。
  • 2008/08/01
    その宮崎駿がパクッたフライシャーのスーパーマンは、ここで無料で見られる。http://tinyurl.com/yu4wvg
  • 2008/08/07
    あることに怒り、怒った理由を説明したり、他人の指摘するうちにさらに怒りがこみ上げてしまい、いよいよ手がつけられなくなるタイプの人がいるな、とNHKの宮崎駿さんの番組を見て思った。かんたんに言えば「気分屋」。
  • 2008/08/07
    そういう怒りのスパイラルは、放っておくか、笑いでごまかす方がいいと思った。もしその怒りの理由はまちがいであると否定すれば、自分の怒りには正当性があると主張するだろうし、正当性があると確信するとまた怒りが増幅してしまう。
  • 2008/08/19
    宮崎駿さんの名言・迷言「電気でつくったものは人の心を打たない」の「電気」はデジタル機器のことだろうが、言葉どおりに実践して、洞窟壁画を描くことにする。暗い中で左右にたいまつを動かすと、壁画が動いて見える錯覚を利用したアニメーション。これは心を打つにちがいない。
  • 2008/07/30
    テルー「ライフをインポータントしない奴なんてヘイトだ!」
  • 2008/06/25
    人のゲド戦記を笑うな。
  • 2008/08/29
    宮崎駿さんには雷が「吾朗吾朗」と聴こえるらしい。
  • 2008/11/24
    アニメーターの私は『もののけ姫』開始7分30秒ほどにある「ゆりかご」に感動した。手間のかからないリピート作画で生活感を出すテクニックで宮崎駿にかなう人はいない、と思った。大きなハンマーで杭を打つ場面も宮崎作品にたびたび登場するが、これも楽なリピート作画で生活感を出せる。うまい。

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twitter-log 小説『アインザッツ』の寸評

補足:山本寛さんによる小説『アインザッツ』は、雑誌アニメディアで好評連載中。以下は第一話を読んだ寸評である。

  • 2009/07/17
    山本寛さんの小説『アインザッツ』の感想がぜんぜん見つからないですね。みなさん、読まれましたか? 映画史とかアニメ史とか言うわりに文学史への配慮は感じられないなぁ、という感想を私はもちました。もしかした私の知らないライトノベル史に配慮してるのかもしれませんけど。
  • 2009/07/18
    迷ったが、小説『アインザッツ』について、少しだけ書いてみる。主に文章に注目した。内容には触れないのでネタばれにはならないと思う。
  • 2009/07/18
    「新緑」が七月では季節がずれている。文学的うんぬんというなら、たとえば「瑞葉」くらいの言葉が良いのではないか。また続いて「生い茂る樹々から零れ出る」の部分は、最後を「零れる」にした方が良い。このようなリズム感のない文は、著者に古語・漢文の素養がないことから生まれていると思う。
  • 2009/07/18
    地面の陽だまりに「革靴が飛び込み、その都度光の滴が四方に弾け飛び」とあるのに、数行後では「決して軽やかとは言えない足取りでとぼとぼ進んでいた」では、動作の描写がちぐはぐでつながらず、読者の頭の中の像が混乱してしまう。同様に「真紅の扉」→「薄い真紅の扉」も順番を逆にするべきだろう。
  • 2009/07/18
    「ガタ、と乱暴な音をさせ、建て付けの悪さを証明するかのように扉が閉まった」は失敗した翻訳文のようだ。これは「建て付けの悪い扉が閉まった」で良いのではないか。それにしても助動詞「ように」が多すぎる。
  • 2009/07/18
    「その真紅に興奮した闘牛のように、彼の表情がやにわに険しくなった」は意味不明。頭の「その」は何だろう? おそらく前文と合わせて「その真紅に興奮した闘牛のような扉をじっと睨んだ。彼の表情がやにわに険しくなった」ではないか。
  • 2009/07/18
    蛇は性器や性を象徴し、蛇殺し・竜殺しは去勢の意であるとも言われる。しかしこの小説では「猛蛇は去勢されたように」と、蛇そのものが去勢されてしまう。爬虫類にも交尾器はあるので、不可能ではないが、去勢という言葉は哺乳類にたいして使う方が自然だと思う。
  • 2009/07/18
    このユニークとも言える「猛蛇は去勢されたように」の数行前には「その猛蛇が生気を抜かれたように」とある。どちらか一方だけで良いのではないか。
  • 2009/07/18
    ほかにも気になる文章はいくらでも見つかるが、きりがないのでやめておく。小説『アインザッツ』は編集者による校正をうけていないように感じる。たとえば「!」と「?」の後の一字空きスペースが抜けている部分もある。これはテキストファイルならば置換ですぐに修正できる。
  • 2009/07/18
    批判ばかりも何なので、良かった部分も挙げておく。独りよがりな文体は、主人公の性格に合っていると思った。蛇、鷹のたとえは良かった。とくに蛇は、平松さんによる表紙絵でも五線譜がぐるりと体に巻きついているので、イメージ的につながる。そして、ある人物の顔を描かない挿絵にぐっときた。以上。
  • 2009/08/10
    発売日になったので、雑誌『アニメディア』を買ってきました。(ざわ… ざわ…)

アニメ『川の光』が地上波で再放送されます

6月20日に放送され、6月28日にBS2で再放送されたアニメ『川の光』ですが、地上波での再放送も決定しました。

2009年7月20日(月)総合テレビ
午前8時35分~9時57分
(短縮版メイキング付き)

視聴者の方々からたくさんの反響をいただき、短期間のうちに三回も放送されることになったようです。制作者のひとりとして、これほどうれしいことはありません。みなさま、ありがとうございます。

番組の投稿フォームではひきつづきご意見・ご感想を募集しております。投稿フォームはこちら

75分のアニメじゃもの足りない、という方は原作の小説をぜひどうぞ。

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ウィークエンド・シャッフル(ゲスト・細田守)を聴いて、アニメの表現論をふり返る

今月19日にTBS RADIOのライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフルを聴きました。ゲストは細田守監督。ポッドキャストで配信されているので、聴き逃した方はこちらから。

すでにどうかんやまきかくの楽屋裏: ウィークエンド・シャッフルで書いていただきましたが、細田守さんの語ったアニメの表現論はわたしが前に書いたものとよく似ていて、うれしかった。

かんたんに要約すると「生きてる感じ・もっともらしさ」がアニメ表現の面白さで、同じように正反対の「生きてない感じ・記号性」も面白さになる、ということです。ほかにも、アニメは現実をそのまま映すのではなく、手でアウトプットされたものだから面白い、という内容は以下で書きました。

このうち該当する部分だけを抜き出してみます:

絵、そして動画の表現とは「分解」であり「再構築」であり「再現」であり「感覚による変奏」であり「抽出されたもの」であろう。だから実写で同じような芝居、カット割りを行ったとしても、アニメーションとはまったくちがった時間、空間が生まれる。(略)分解され、抽出され、つくり手の感覚によって再構築された時空間は、実写よりも異質で、濃密なものになりえる。

そもそもアニメーションは、絵が絵であって同時に絵でなくなる表現である。ただの絵が、同時にその場所の風景であり、また、生きて血の通った存在として受け止められる瞬間の「エロス」こそが、アニメーションの魅力になる。

細田守さんは「動き」を中心に語っていましたが、わたしは背景美術のような止め絵でも、やり方によってはアニメ的な面白さを感じることができるだろうと考えています。

こういうアニメの表現論は、まとまって書かれたものを読んだことはありませんが、私のオリジナルではないでしょう。認知科学の本あたりで、誰かがきちんと書いてないかなーとぼんやり期待してます。たとえば認知科学の重鎮で、ご自身もチャーミングな佐伯胖さんは「コビト論」で、こんなことを書いていました。

人は「分身」を世界に派遣する
わたしはいくつもの「わたし」に分かれて、世の中のありとあらゆる世界(モノ、ヒト、コト)に潜入し、その、分身としての「わたし」(コビト)が対象世界の制約の中でかぎりなく「活動」し、「体験」し、そのような、あらゆるコビトの多様な「体験」が統合されたとき、わたしは世界を「納得」する。
「学問と人間」─ヒトがヒトを知るとは─学術俯瞰講義(3)

あらゆるモノ・ヒト・コトに自分を重ね合わせて、共感したのちに理解・納得する、というものです。これはアニメのキャラクターに「生きてるみたい!」とか「死んでるみたい!」と感じることに関係していると思います。ジャック・ラカンの「『盗まれた手紙』についてのゼミナール」も思い出します。

アニメを見るときのリテラシーについて、また、奇形的な表現についても書きたいことがありますが、長文になりそうなので、機会があったらまた。

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