「専門家おやじギャグ」の楽しみ

わたしは本を読んで「専門家おやじギャグ」が思い浮かんだときがいちばん楽しいかもしれません。

たとえば『考古学の教室』で紹介されていた相沢忠洋さんは、群馬県ではじめて日本の旧石器を発見した人ですが、戦後の貧しい時代に納豆を売り歩いて発掘資金を貯めたそうです。また、ギリシャ神話の都市トロイアを発掘したシュリーマンは貿易で発掘資金を貯めます。

そこで思いついた「専門家おやじギャグ」:

助手「発掘資金が足りなくなりそうです」
教授「きみは納豆を売り歩きなさい。わたしは貿易で一発当ててくる」

はじめて聞いた新入生は笑うかもしれませんが、耳にタコができている助手は「この化石教授は酸性の土に溶けて消えろ!」なんて思ったりする。微笑ましい一場面であります。

人類進化の700万年』では、インドネシアのフローレス島で、脳の大きさが現生人類の三分の一以下、身長一メートル、体重二十~三十キロの”小型人類”が発見されたことが紹介されていました。「ホモ・フロレシエンス」と名づけられたその人類は、病気ではなく正常な大人でこの小ささだったらしい。

フローレス島ではほかにもステゴドンというすでに絶滅している小型ゾウの化石が見つかっています。そこから導きだされたのは「島嶼化」の可能性。外敵が少ないため身を守る必要がなく、また食料が少ないためエネルギー消費を抑える必要がある島の環境では、動物は小型化する。すなわち「島嶼化」で人類が小さくなったのではないか?

「ホモ・フロレシエンス」の脳は小さいながらも側頭葉が発達していて、火や石器を使っていた。つまり知能の発達は「脳の大型化」だけではなかった、ということが(いろいろな仮説が正しければ)わかります。

そこで思いついた「専門家おやじギャグ」は……ポリティカル・コレクトネスにより婉曲的にしますが:

助手「島の発掘に不必要なものは置いていきましょう」
教授「賛成だ。きみはまずミニモニのCDを鞄から出しなさい」

たぶん、まだわたしが知らないような、その筋だけで通じるようなおやじギャグがたくさんあるんでしょうね。アニメ関係者が電車に乗ると「遠くの山は0.3ミリ/1コマの引きだ」と言ったり、地面に落ちた影を見たら「ダブラシが濃いな」なんて専門家おやじギャグをかましたりします。

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