山倉慎二『内科医からみた動物たち』を読む

山倉慎二『内科医からみた動物たち』を読みました。Discovery Channelとかが好きな人におすすめの動物本です。動物園に持っていきたい一冊。おもしろかった。

キリンは長い首の先まで血液を送るために最高血圧が200~300mmHgある! もう、のっけからこころを鷲づかみにされましたね。これだけ血圧が高いと脚などはむくんでくるはずですが、キリンの皮膚は厚くごっつくなっていてぴったりからだを覆っているから、むくんだりしない。へー。

『アイアイ』というかわいらしい歌に登場するアイアイではあるが、実はとてもサルの仲間とは思えない不気味な姿をしている。(略)その奇怪な姿ゆえ、島の住人には「見つけたらすぐに殺さないと悪いことがおこる」といわれるくらい忌み嫌われていて、そのために絶滅の危機に瀕しているという。どうしてあんなかわいい歌になったのか。

だいたいはこんなトリヴィアルな話が多いんですが、やっぱり動物本といえば「速!」「デカ!」でしょう。

動物界の俊足といえばチーター。時速100~120kmで、止まった状態から走りはじめても100メートルを4秒でゴールします。ただし200メートルで体力を使い果たしてしまうので狩りの成功率は高くない。チーターはネコ科なのに幼少期にしか爪をひっこめることができず、イヌ科に近いと言われます。

プロングホーンはMAX時速96kmで走るうえに、時速70kmほどにセーブすれば6~7キロを走りつづける、総合力ではチーターに勝るすごいやつです。でも、動くものを調べたがる習性のせいで、旗を振った人に近づいてはばんばん狩られてしまった。頭は悪いなあ(人間基準で言えば)。

一種で一属、一科、一目を構成する珍しい動物のツチブタは、固い地面でも2~3分で穴を掘って隠れるそうです。こういう動画がYoutubeにアップされるような時代が早く来てほしいものですね。どうでもいいですが、ツチブタ – Wikipediaの寝てる画像が超かわいい。

200万年前、アメリカ大陸にはメガテリウム(オオナマケモノ)が生息していたそうです。体長4~6メートル、体重3~5トン。二本脚で立ち上がるとゾウの体高の2倍。ああ、凶暴化したメガテリウムが渋谷の街をぶっこわし、東京タワーにしがみついてのんびりしている映像が見たい。(Wikipediaによると、全長6~8m、体重3トン、体が重たいので木には登らないそうです。がっかり)。

イノシシそっくりのペッカリーは100頭を超える群れで生活していて、特にリーダーは決まっていない。ジャガーやピューマに襲われると見張り役の一頭が犠牲になって立ち向かい、ほかのものを逃がす。この人間にとって利他的とも感じられる行動は、なかなかおもしろいですね。神話などのネタになってそうです。

ややこしいことでおなじみの動物分類は:

種(species)
属(genus)
族(tribe)
科(family)
目(order)
区(cohort)
綱(class)
門(phylum)
界(kingdom)

で、さらに詳しく分けたいときは上、亜、下をつける。たとえばグランドガゼルなら:

脊椎動物門、哺乳動物綱、獣亜綱、真獣下綱、猛獣有蹄区、側軸上目、偶蹄目、反芻亜目、ウシ下目、ウシ科、ブラックバック亜科、ブラックバック族、ガゼル属、ダマガゼル亜属、グランドガゼル

となるそうです。ここまで長いと極道が仁義を切ってるみたいですね。おひかえくだすって、ありがとうござんす、手前、脊椎動物門、哺乳動物綱、獣亜綱…(略)…グランドガゼルと発します、以後、万事万端よろしくお願い申します。

「内科医からみた」というタイトルなので、動物のおもしろ話にからめて医学ネタがはさまれます。睡眠、肥満、出産、乳児の突然死、HIVやインフルエンザ、人間中心主義への危惧など。科学ネタは、ラマルクの用不用説、ダーウィンの自然選択説、フリースの突然変異説など、おなじみの話題が多かったです。

まだインターネットが発達する前、わたしが小学校から中学生くらいのころにこういう本に出会いたかった、と思いました。

くり返しますが、ツチブタ – Wikipediaの寝てる画像が超かわいい。

内科医からみた動物たち―カバは肥満、キリンは高血圧、ウシは偏食だが… (ブルーバックス)

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