吉村作治『ピラミッドの謎』を読みました。2005年に未盗掘の完全ミイラ「セヌウ」を発見した興奮冷めやらぬままに書いてる感じですね。
ダハシュール北遺跡にピットが見つかって掘り進めていくあたりの描写は臨場感たっぷり。木棺はノミで打って開けるんですが、エジプト係官の仕事は荒っぽい。でも日本人が手を出すと外交問題になりかねないため、「たのむから丁寧にやってくれ!」とじりじり待つあたりの描写が良かったです。『世界ふしぎ発見!』に登場したあのスタッフたちががんばっていたんだろうなあと現場を想像しながら読みました。
「セヌウ」はおそらくヌビアとの国境守備隊長で、オペラ『アイーダ』のラダメス将軍のような人らしいです。発見された墓には副葬品がなく、盗掘を恐れての隠し墓(カシェ)だった。
ミイラをCTスキャンにかけて「セヌウ」の生前の顔を復元してみると、ミイラマスクに似ていない。おそらくデスマスクからミイラマスクをつくるという定説がまちがっていて、すでに何種類かできあがっているミイラマスクのなかから親族が料金と好みに合わせて選んでいたんだろうと吉村さんは考えます。
ツタンカーメンの復顔もミイラマスクに似てないのですが、こちらは衣装合わせ用のマネキンがあったように、ミイラマスク用のマネキンがつくられたのではないかと推測されています。まだまだわからないことだらけですが、発掘によって謎が明らかになったり、逆に謎が深まったりと、古代エジプトはおもしろの宝庫ですね。
この本の中盤からは、いつもの「ピラミッド非王墓説」や、ミイラのつくり方、カーターとツタンカーメン、ピラミッド建造法と公共事業説、古代エジプト三大美女という、この手の本ではおなじみの話題でした。

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