森博嗣『スカイ・クロラ』を読みました。端的で詩情のあることばでつむがれた小説です。あっという間に読み終わりました。おもしろかった。いきなり冒頭から絵があったらアウトな場面、もっと言えば男女の顔が見えてしまったらつまらなくなる場面でおどろきました。ひじょうに小説らしい表現だと思います。
押井守さんがいままでのやり方を捨てて映画化するらしいですが、わたしはおなじみの押井スタイルで映画化されたらどうなるかを妄想しながら読みました。押井スタイルをざっくり言ってしまえば、「アメリカンな内容をヨーロピアンな表現でまとめたもの」と「さがすことの主題を描くもの」でしょうか。
「アメリカンな内容をヨーロピアンな表現でまとめたもの」とは? たとえば警察が非合法な手段を使ってテロリストをつかまえる内容を、ところどころ「それってアンドレイ・なにコフスキー?」な表現でまとめた作品が『機動警察パトレイバー2 the Movie』になります。
「さがすことの主題を描くもの」とは? 『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』から『イノセンス』まで、押井守さんの代表的な作品はだいたいこんな構成になってます。
(起)なにかを失う、あるいは、すでに失っている
(承)なにかをさがしはじめる
(転)なにかが見つかる……クライマックスはここらへん
(結)決定的に状況が変わる……その後どうなるかは観客の想像におまかせ
いまさらな解説ですが、押井スタイルはこんな感じだと思います。もちろん細かく見ていけばしっくりこないところは出てきますが、あくまでざっくりと、大ざっぱな特徴です。このふたつの特徴を盛りつけて、上からぱぱっと犬とか戦争とか宗教性をまぶして仕上げれば、うそ押井守作品の一丁あがりです。
さて、うそ『スカイクロラ』はどんな映画になるか? 原作小説を読みながらあれこれ妄想すれば、小一時間は暇がつぶせますよ。作品のワールド・モデル(ショーとしての戦争)と、キルドレの設定をさがすことを通して明らかにしてく内容かしら? なんてふうに。
