去年をふり返る アニメと映画

去年のテレビアニメでは『のだめカンタービレ』、まだ放送中ですが『逆境無頼カイジ』と『銀魂』を押します。アニメーターのくせにアニメをほとんど見てなくて申し訳ない。参加した作品が完成したらもらえる白バコ(焼いたDVDが多くなった)をチェックするくらいです。

ほかでは、『らき☆すた』第一話の冒頭8カットと、第三話の姉妹を同じポジションでつなぐ危険なカット割りが印象的でした。『電脳コイル』の井上俊之さんと板津匡覧さんの仕事ぶりはすごかった。テレビ『クレヨンしんちゃん』でカッパが登場する回を『河童のクウと夏休み』演出処理の石田暢さんがやるというお遊びも楽しかった。

某社の演出さんが脚本を無視して没をくらった絵コンテと、その後のふてくされ具体もふくめて、おもしろかったです。時代が追いつくまであきらめずにがんばってほしい。

年末の飲みの席で「すごい作画は要らない、そこそこの作画で統一できるならそれでよい」とか「エフェクトは違和感がなければCGでよい」という話をしたところ、動かし屋の若手アニメーターに「平川さんはそっちの人ですか」と言われたのが印象深かったです。一般の人に伝わらないほど進化した通好みな作画をどうあつかうかは、これからのアニメの課題だと思います。わたしは中道をとる。脚本とコンテはぐずぐずだけどよく動く作品のような、エモーションを欠いたモーションが嫌いなので。

映画では『リトル・ミス・サンシャイン』と『河童のクウと夏休み』を押します。わたしは単純な映画が好きなようです。あと『』のすっからかんで寒そうな湾岸地帯もよかった。ちぎれたビニールが鉄骨にからまって風に揺れる画面もぐっときます。去年はお金がなかったこともあって、ルビッチ、スピルバーグ、アルドリッチ、イーストウッドをDVDで見直していました。わびしいなあ。

マイノリティ・リポート』のふたりが追っ手から逃げるくだりで、風船の束と傘が死角になってまんまと逃げおおせる場面があります。それがちょうど『ボーン・アルティメイタム』のある場面に似ていました。つい比較しながら見てしまったのですが、近未来が舞台の『マイノリティ・リポート』の方がよっぽど古い時代を描いているように見えるんですよね。風船とか傘とかに隠れるなんて、まるで子供が思いつきそうなアイデアだし、きっと西部劇であっても同じアイデアを使えるでしょう。こういう『マイノリティ・リポート』のドリフというかホークスみたいな演出と、『ボーン・アルティメイタム』のたくさんの監視カメラを使ったいまどきの演出と、どちらが好きかといわれれば、わたしは確実に前者です。

そういうガンコジジイ体質のせいもあって、映画館でイライラすることが毎年増えているような気がします。『クワイエットルームにようこそ』なんて「内田有紀がかわいかった」くらいしか言うことがない……。ひじょうに残念です、自分が。

『河童のクウと夏休み』は制作のはじめから参加して、いろいろ勉強させてもらいました。映画づくりは「わかってない人たちとの戦い」ということを実感しました。まあ、映画=芸術=商品だからあたり前の話ですが。

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