所用で渋谷を歩いていたら、歩道わきの柵に腰をかけて漫画を読んでいる外国人を見かけた。ぴったりしたスーツを着込み、不精ヒゲを生やしていて、おしゃれタウンならではの雰囲気である。ふと、なにを読んでるか気になって覗いてみたら、いましろたかしの『トコトコ節』だった。急速にシュールな空間へと変わる渋谷。おかげで、その日はすばらしい気分で過ごすことができた。
某所で、アニメーター志望の若者に「これだけは見ておいてほしい作品」をひとつ選べ、というむずかしい問いを出された。あれもいい、これもいい、あんなのも好きだし、これだって外せないぞ、なんてけっこう真剣に考えた。なにしろ、あびるように見ているのだから一筋縄ではいかない。最終的に『劇場版 エースをねらえ!』を挙げた。いまふり返っても良いチョイスだったと自分で満足している。あえて次候補を挙げれば『ホーホケキョ となりの山田くん』か。この二作には、日本的な「アニメ」と純粋芸術としての「アニメーション」を娯楽作品のなかで両立させていて、映画であり、すこぶる面白い、という共通点がある。


