友達にしりとりの強いやつがいる。Kくんである。書くのもシャクだが、いままでに一度も勝ったことがない。Kくんの強さは主に精神攻撃にある。以下、Hがわたし平川です。
H 「旅ガラス」
K 「スリ」
H 「林道湖ファミリー牧場」
K 「ウリ」
H 「理科準備室」
K 「釣り」
H 「(またリか…)陸上自衛隊」
K 「椅子」
H 「(あれリじゃないぞ?)杉並区」
K 「栗」
H 「(フェイントか!)理科」
K 「カントリー」
H 「リ……リットン調査団、北へ(無理矢理)」
K 「ヘリ」
H 「(すでに切れ気味)リ……リ……リミッター」
K 「タモリ」
「あしたのジョー」に舞々という技が出てくる。右左フックやアッパーで常に相手をロープの中心に固定し、倒れることもロープ際から離れることも許さない恐ろしい技だ。
Kくんとのしりとりは、その舞々をかけられているような気分がする。しりとり序盤の「スリ」「ウリ」「釣り」はショートジャブ、フェイントをはさむ余裕を見せ、大技の「カントリー」。そしてまた「ヘリ」と基本のジャブにもどる。機械のように洗練された巧みな戦術である。
いつも熱いしりとりバトルを終えると、堅い握手でおたがいをたたえ合う。今回もそのはずだった。わたしの手は握手をもとめるKくんの手をすり抜け、そのままわたしは前のめりにリングへと倒れこんだ。
死因は体力の限界を超える減量と、最終ラウンドKのはなった「タモリ」と推定される。