原恵一監督のあれこれ

 WEBアニメスタイルの10月9日のイベントは、『エスパー魔美』特集。原恵一さんがいらっしゃるそうです。原恵一さんはおしゃべりしているといくらでも掘っていける人なので期待してます。ちなみに、『百日紅』を読んで村上龍がすっぽんを食べたくなったことと、出崎統さんがBGだけのカットに「人の気配がほしい」とリテイクを出したことは原恵一さんから聞いた話です。

 ほかにも、こんなお話を聞きました。『芝山努と映画ドラえもん『のび太とロボット王国』の世界』でおなじみですが、芝山努さんのコンテは動画みたいな細い線で緻密に描いてあります。ところが、むかしの芝山さんのコンテは、大らかな味のあるラフな絵で描いてあったらしい。それが、ある時期から急に緻密になった。なぜか。某アニメーターは、「芝山さんは老眼鏡をつけてからコンテが緻密になった」と語っていたそうです。これなどもアニメ好きにはたまらないですね。

 わたしは『エスパー魔美』のなかでは「最終バスジャック」が好きです。原恵一さんの作品には、しばしば「常識からの逸脱」というか「ルール違反」みたいな場面があって、それが実に活き活きと描かれます。ざっくりと「不良性」と言ってもいいです。

 たとえば『映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』は戦国時代の恋愛の常識を逸脱しようとする男女のお話でもあります。姫が合戦のさなかに飛び出して又兵衛のところに向かう場面はすばらしい。『映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』では、ケンが野原一家をタワー向かわせたことがあの世界での最大のルール違反でしょう。チャコが「どういうつもり」と訊くほどのおどろくべき逸脱ぶりです。これが欠点でなく魅力になってるのがすごい。

 「最終バスジャック」は、常識から逸脱をしようとする不良息子のことを、それを上回るルール違反をして父親がいさめるという、とんでもない作品でした。原恵一演出の魅力がつまった一本だと思います。

 もうひとつ原恵一作品の特徴をあげるとすれば、「無駄が面白い」でしょうか。作品を木にたとえれば、太い幹ではなく、枝葉にあたる部が際立っている。これについては来年公開される新作を見てから、あらためて書くことにします。

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