ちょっと前の日記で、youtubeに「磯光雄 担当カット集」みたいなファイルをアップする作画マニアはいないのかしら、著作権的にはまっ黒だけども、と書いた。そうしたら、いまその手のファイルが増えているみたいで、ちょっとおどろいた。シンクロニシティというか時代の趨勢なんでしょう。わたしが言った「磯光雄 担当カット集」もすでにあって、そのアップされた日時があまりにもタイミングが良すぎなのだけれど、このサイトはアクセス数が少ないし……教唆とは考えたくない。
でも、そういうファイルは一部を除いて面白くなかった。編集しちゃっているのだった。そのアニメーターが30カットなり100カットなりの「担当したトータルの尺をどう使ったのか?」という視点がすっぽり欠けているような気がする。たとえば馬越嘉彦さんは、どたばた暴れるようなカットはたくさん原画を入れるけれど、髪のなびきなどはあっさり三枚原画で流すことが多いし、止めるべきところはきっちり止める。ずっとどたばた暴れ続ける場面を担当した場合でも、スケジュールなどの都合があるので、力を入れるカットと流すカットが出てくる。そういうちがいは、個々のカットを抜き出して編集してしまってはわからなくなる。
作画マニアの方々がどういう嗜好を持っているかよくわからないのだけれども、ど派手な動きを集めて編集したショー的な楽しさ一辺倒では、さすがに飽きてくるんじゃないかと思う。アニメーターの担当カットをトータルで眺めれば、その人のこだわる場所とか、動きやレイアウトのくせ、手の早さ、たまにその作品のスケジュールのこともわかったりするし、なにより、なんてことのない止めのカットですら意味を持ってきて楽しめるようになる。とくに井上俊之さんは「担当したトータルの尺をどう使ったのか?」を意識すると、動きや絵だけでないうまさ、効率のよさだったり、処理の的確さがよくわかってすごく楽しいはずです。尺の短いカットは無理して背景にクミを切らない、とか。ちょっと専門的すぎるかもしれませんが。