ひきつづき折口信夫『初稿・死者の書』を読書中。これはアニメーションの原作にもってこいじゃないかな、と思いながら読んでいる。月の「こう こう こう」と照る音や、死者の「しと しと しと」という足音、
問題は内容の普遍性と時代性だが……これは上品なやりかたじゃないがやや誇張をもってフェミニズムと結びつければ、なんとかなるかもしれない(怒られそうな表現ですが)。せつないラブ・ストーリーと読むこともできるが、それで一点突破したら豊かな細部がすべて台無しになってしまう。やはり、なじみの薄い古代の思想や生活などの背景に若干の説明を加えるのみで、あえてロジカルな物語展開を無視し、幽玄さをスポイルせず、そのまんま描くしかないのかもしれない。現代的な作品にはなりようもなくなるが、原作のすばらしさを活かすにはそれがいちばんだ。しかし、なんとも惜しい素材だと思う。