『関東無宿』、『すべてが狂ってる』、『おしどり駕籠』

 嵐のような仕事が終わって、だらだらと映画を三本。鈴木清順『関東無宿』、『すべてが狂ってる』を見た。若いときの小林旭はかっこいいのだけど、アニメのキャラクターみたいな眉毛だ。ふつうの映画はつくりものを本物っぽく、現実のように見せるのだけど、鈴木清順は平気でつくりものであることをばらしてしまうのが変で面白い。主人公が日本刀をふり回してヤクザを斬ると、部屋の障子がすべてはずれる、なんと外は一面ピンクの光! アニメで言えば部屋をBOOK処理してBG透過光。そうとう珍妙なシーンのはずだけど、その場面のテンションが高いせいで笑うことも忘れて圧倒される。あと部屋の照明が急に暗くなっていって人物にピンスポットが当たるシーンもばんばん出てくる。

 マキノ雅弘『おしどり駕籠』を見た。マキノ映画にあふれる多幸感はなんなんだろう。一対多のチャンバラのあと、まわりは刺客たち死屍累々、その真ん中で主人公とヒロイン美空ひばりが「もうオカメなんて呼ばないでね」なんていちゃつくシーンにはさすがに苦笑したが…。同監督『次郎長三国志 第六部 旅がらす次郎長一家』の越路吹雪があまりにも良すぎて、この映画の美空ひばりがかすんで見えたのはちょっと残念だった。美空ひばりの登場が粋で、矢場の店先で矢取女たちが掃除をしていると、店の中から鼻歌が聴こえてくる。まだ顔は見えないものの、もうその歌声でわかる。観客と同じ気持ちになったのか、矢取女たちは歌をもっとよく聴こうと戸の前まで来る。カメラは店の中に入り、ゆっくり歌っている美空ひばりまでパンする。当時のひばりファンがにちゃんねらーだったら、まちがいなく「キター」と言っただろうと思われる、かっこいい場面だった。

関東無宿 すべてが狂ってる おしどり駕籠

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