ついでにそっと「さよなら」を

 見渡すかぎりの荒野に、ぽつんと、人々が固まって生活している場所があった。

 草木の枯れた大地だったが、なぜか食料は豊富にそろっていた。白米、パン、エビフライ、から揚げ、カレー、味噌汁、プリン、果物などなど、まるで学校の給食みたいなメニュー。しかし、そのほとんどは腐っていた。

 人々の生活は、ある機械を中心にまわっていた。食料が「腐っている」か「腐っていない」かを機械に判断してもらっていたのだった。そのうち、機械を無視して、腐った食料に手をつける人が現れはじめた。彼らの多くは、そうでもしないと生きていけないから、と主張した。なかには、好きこのんで腐ったものを食べる人たちもいた。

 わたしも空腹なのだけど、腐った食料は食べたくなくて、どうしようか迷っていた。そんなとき、きれいなキュウイを見つけた。みずみずしくて、おいしそうそうだった。いちおうの確認のために機械に通したら「腐っている」と判断された。

 どこも傷んだところのない新鮮そうなキュウイ。これは本当に腐っているのか? それとも、この機械は壊れているのか? わからない。途方に暮れつつ、ゆっくりとキュウイにスプーンを入れ、口に運んだ……

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 ちょっと前に、こういう夢を見ました。やけに印象的で、目覚めてすぐ同居人に話し、会社で友達にも話しました。ぼんやりとしてますが、自分がいまのアニメ業界をどう思っているか、つかめた気がします。

 今年最後の短歌は、いつもどうりシュールなものばかり。よいお年を。

芳一(ほういち)は行方不明のままメモの書かれた左手だけが見つかる
お昼ごろ祖母は「タモリがはじまる」と言う はじまった一義アワー
ピノッキオの小さい「ツ」を抱く悲しみは個性時代の終わったしるし
カリスマ的アダルトビデオ男優のへたな芝居にホッとする晩

「アントニオ猪木のまねのスマイルとチーズバーガー」「五百円です」
つらがまえ身のこなしその全身が鈴木という名にふさわしい人
おでこにチュ ついでにそっと「さよなら」を骨伝導で告げる恋人

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