下の日記で書いた某作品、わたしが原画を描いたシーンのほとんどが動きを削られていてすごくショック。動かすことで有名な某社の作品だからって、いっぱい原画を描いて動かしたのだ。それでも、こういうところまで演出を批判したいんじゃなくて、むしろ正しい判断だよなぁと感心した。とくに動く必要のないシーンに、「とにかく動いてればなんでもいいんだよ!」みたいなムチャな原画を描いてしまったのだ。下手くそなのに。それに、わたしの担当したシーンのすぐあとにバトルシーンがあるので、アクションを引き立たせるためにも、わたしのところは止まってた方がいい。メリハリは重要だろうし。でも、キャラが起き上がって、左右にぐらついて、体勢を立て直して、首を傾けつつセリフ、という20枚足らずの原画が、一枚の止め口パクになってたのはガガーンとしましたが。
わたしの後のバトルで、変身した主人公がバケモノを三回ほど連続してパンチするシーンがすごい。こぶしを後ろにググッとためるところをゆっくり、パンチをくり出すところでいい感じに絵が飛ぶ。この中間のポーズを描かない、パッと絵が飛ぶところがアニメの気持ちよさというか、絵が動くことの快楽をみごとに表現していて、何度もビデオをコマ送りしてしまった。そこらの原画とはレベルのちがうなにかを感じさせる。
ひょっとしたら、このシーンの担当は、カリスマ・アニメーターこと井上俊之さんじゃないのか。東映作品の『くもりのち晴れ』で、少年が舞台セットの壁をガンガン殴って壊すシーンとか、同じ東映作品の『芽生え』で、老人が大木を斧で打つシーンも、同じような絵が飛ぶ気持ちよさがあると思うのだけど……どうなんだろう。こんなこと描くと作画マニアの方々に「チミは井上さんのなにもわかっちゃいない」なんて笑われそうだけども。
『くもりのち晴れ』のDVDは、軽い気持ちでは買えない高い値段なんだけど、主人公の少女が弟たちとボール遊びをするシーンがすごいので、おすすめです。少女があわててコテッと転倒しちゃう動きなんて、もう、その、あれですよ。コマ送りすると、バランスを崩した瞬間の少女は自分が転ぶとは夢にも思ってない表情で、驚くことが転ぶ速度に間に合わないまま、無意識にからだをかばおうと手が出てしまい、その手が地面に弾かれて、着地する、という一連の動き。マジで腰が抜けます。
そういう複雑な絵のうつり変りが、一秒の半分くらいのわずかな瞬間で視神経に刺激をあたえるアニメーション。たまりませんね。ああ、ポクポク。