目覚めると布団からアルコールと香水のまざったにおいがして、ここがオカマの恵子(本名は雅彦)の部屋だと判った。
恵子とは飲み屋で知り合った。最初、ぼくは彼女のことを女だと勘違いしていた。彼女が男だと知ったのは、会った瞬間からずっと口説いていたぼくにはかなりのショックだったが、なぜか男と知ってからのほうが彼女とは親しくなれると思った。
彼女はきれいだ。ぼくの知っているどんな男より、どんな女より、何倍もきれいだ。
洗面所から水の流れる音が消えて、涙目の恵子が出てきた。
「おはよう」
「おはよう、恵子。どうかしたの」
「え?」
彼女はウサギみたいに真っ赤な瞳で、ぼくは彼がウサギ好きなのを思い出した。心配そうなぼくを見て、彼はクスリと笑って言った。
「ヒゲを抜いてたの」
彼女はきれいだ。ぼくの知っているどんな男より、どんな女より、何倍もきれいだ。