アニメでホラー

 職場で「アニメでホラーはむずかしい」という話をしたので、日曜はホラー映画を見ることにした。いつものように、いそいそとビデオ屋に出かける。

 わたしがいままでに見たアニメで、ちゃんとこわがれたのは、『うちのタマ知りませんか?』の17話「まつりばやし」のあるシーンだけ。もちろんホラーではないのだが、しばらく震えがとまらないほどこわかった。まあ、これはどうでもいい。アニメでおすすめのホラーがあったら教えてください。わたしのオススメは『タマ』の17話です。ダントツにこわい。

 わたしはど級のビビリ、こわがりなので、これまでホラー映画はあまり見てこなかった。小さいころ「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」の夏のホラー特集さえまともに見られなかったわたしだ。スイカ男もだめ、おばけ屋敷モノなんて論外である。そんなものを見てしまったら最後、トイレにも廊下にも出れず、居間でじっと我慢して、そのうち寝てしまうのを待つばかりだった。寝てしまえば、知らぬ間にふとんまで運ばれている。親に早く寝ろと叱られるよりおばけの方が何倍もこわかったこと、実家の壁にある変なシミのこと、よりにもよって誕生日に『13日の金曜日』を見てしまったこと(11月13日生まれです)、などなど小さいころのあれこれをビデオ屋で思い出す。

 そういえば子供のころ『ポルターガーイスト』がこわかった。ていうか、こわくて途中までしか見られず、つづきを夢の中で見た。内容は忘れたが、ひどい悪夢だったような気がする。とりあえず一本目は『ポルターガイスト』に決定。

 ドレイエル『吸血鬼』、スピルバーグ『ヘキサゴン』、シャーマン『ゾンゲリア』みたいな、こわいものが出てきても出てこなくても、雰囲気だけで充分こわい作品が見たいなぁと思ったんだが、残念ながらどれがそういうのかわからない。『ポルターガーイスト』の監督、トビー・フーパーの名前を聞いたことあったので、同じ監督の作品、『悪魔のいけにえ』『死霊伝説』『スペースバンパイア』『ポルターガイスト』をレンタルすることに。

 最近は「これはアニメに使える」とか「このカットの照明、レイアウト、衣装、メイク、演技、などなどがすばらしい」というふうに、映画をあれこれ分解しながら見ているので、子供のころのようにこわがれるのかどうが、ちょっと気にかかっていた。『悪魔のいけにえ』は、そんな心配を見事にチェーンソーでぶった切る。こわい。とんでもなくこわい。(これからネタばれします)

 この映画は『13日の金曜日』シリーズの走りになった作品らしく、学生っぽい男女が次々に殺されていくお話。ふたり女性がいるんだが、ひとりは健康的な足を惜し気もなくさらしたホットパンツで、カメラも下からあおって映したりして、なかなかエロい。こういうサービスは素直にうれしい。もうひとりの方は白いベルボトムで「せめてスカートとかあるじゃん!」なんてやきもき。

 しかし後半になって、この意味がわかった。ホットパンツは早々に殺され、ベルボトムは暗い林のなかを逃げ回る役どころだったのだ。暗い林だと、照明でうそをつけないし、暗い色の洋服や肌をさらしていたらよく見えない。そこで白いベルボトム。ちょっと暗くても、あわてて逃げるさまがちゃんと撮影できるのである。ホットパンツも肌をさらしていただけあって、肉がらみの痛い目にあって死ぬ。アニメでは不要だが、実写では重要なこの心配り。人を殺すこと、あるいは逃げまどう演技にかけられた演出の力みぐあいがなんともこわく、そして美しい。あと、たぶんホラーマニアはふたりの服装を見ただけで、どっちが先に殺されるかとか、後の展開とかわかっちゃうんだろうなぁ、なんて思った。

 この映画でこわいところはまだいっぱいあるんだが、思いつくままにだらだら書きすぎたので省略。基本に忠実で現代劇なのに古典的なところがこわい『死霊伝説』、ただならない雰囲気と女優の乳がすばらしくこわい『スペースバンパイア』、トラウマのせいでやっぱりこわかった『ポルターガイスト』、かなり楽しんだ。これからの季節はトビー・フーパーの映画がオススメです。

 そしてアニメでホラーの道のりは、まだまだ遠いことを思い知る。

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